葦束漂流記

漂流者。Y世代のしがないサラリーマン。

無自覚の偏見と年齢差別

東京五輪パラリンピック大会組織委員会森喜朗会長(83)が、女性蔑視と受け取れる自身の発言の責任を取って辞任した。

「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」発言が問題となり、国内問題、国際問題となり、森氏の謝罪にも関わらず辞任の運びとなった。

 

私が指摘したいのは、森氏の不適切発言ではない。

むしろ気になったのは、森氏を批判する際にTwitterなどで頻繁に見られた「老害」というワードだ。辞書的に老害とは

 

自分が老いたのに気づかず(気をとめず)、まわりの若手の活躍を妨げて生ずる害悪

 

とのこと。

具体的に年齢的な言及があるわけではないが、年寄りの弊害についてレッテル貼りをした言葉のように思う。上記の例であれば、森氏の発言を「老いによるもの」あるいは、老境に入っている「高齢者世代の思想の問題」と一般化したように思う。

いうまでもなく、老人でも女性蔑視をしない人もいればする人もいるし、若者も然りで、年をとると皆が女性蔑視を始めるという話でもないだろう。

 

老害として片づける批判者は、無意識に年齢差別を行っているのではないかとも思える。無意識に女性差別を行ったことを批判する立場としてはわきが甘すぎやしないだろうか。

老害の問題としては、池袋暴走事故批判の際にも頻繁にみられ、老人蔑視、世代間対立の煽情とも思える。

 

一方で、「最近の若い者は」という言葉は、BC2000年頃に石板にも書かれていたとの話もあり、太古から年長者が若者を軽く見る傾向があったことは興味深く、いまだに若年者を年長者がバカにする、という傾向は否定できないだろう。世代間の対立は根深い。

 

 

ーなぜ、年齢による差別(区別)があるのかー

さて、話は変わって、常々に気になっていることとして、なぜ、17歳以下に選挙権がないのか、という点だ。

おそらく、判断能力など様々な理由があるのであろうが、最近は、20歳から18歳に引き下げられたし、〇才になれば選挙権を持ってよい、というものについては合理的な、あるいは万人が納得する基準はないように思われる。

 

しかしながら、日本国に生きている国民である17歳以下については、政治に参加する(少なくとも投票によって影響力を与える)権利がなく、すべてを先輩方に委ねているということになる。

 

シルバー民主主義などと言われている昨今、十中八九年配者よりも長く生きる未成年層が自分の生きる世の中に対して、影響力を行使できないのはどうなのだろうか、と思う。

 

実は、海外ではそのあたりの議論もあるようで、ドメイン投票という。

親権者が子供の数だけの投票権を追加して付与する投票方式である。

 

ドメイン投票方式 - Wikipedia

 

また、ほかにも面白いものがあり、平均余命との差異によって持ち票が違う、という投票方法を提唱している人もいた。

つまり、80歳で死ぬとすると…

70歳以上は一人1票だが、40歳の人は3票、20歳なら5票などと、これからの政治決定の影響を受ける期間がより長い人の方がより政治に対して強い影響力を行使できるようにするという投票方法である。

 

いろいろな方法が考えられているようだが、法治国家である以上、ルールを変えることを許可するかどうかの生殺与奪権を握っているのは、「今権力を持っているもの」だけである。

 

ーマイノリティはどこまで保護されるのかー

社会問題になりそうなこととなりそうにないことがあるということ。

今回、女性差別というのが非常に大きく取り上げられ、そのようなことは保守的と言われる日本においても容認されないとの意見が示された。逆に上記の例では、老害ということについて問題と捉える人はほとんどいないらしい。

 

少し前の話だが、LGBTの話が盛り上がった。

これに対して、

LGBT」はもう古い? 「LGBTQQIAAPPO2S」だ

という発言がでてきたり、

また、様々な性的嗜好が許容されるならば、「幼児性愛者」はどうなのだ、という議論が出てきたり。

 

これらについて、ここまでは認めるがこれ以上は認められない、私はここまでは許容と各人様々にご意見をお持ちだろう。

 

要するに、問題化されるトピックと問題化し際に社会的に許容されるトピックとそうでないものがある。それも時代によってそれは変わる。

過去の尊属殺人に対する量刑やチャタレー事件などを見てもそうだろう。

 

常識を疑ってみること、アップデートされている世間の常識を(賛成反対はさておき)把握しておくこと、把握したうえで発言をするかしないかを判断すること、が大切なようである。

人と異なる意見を持つことは問題ではないが、少数派の意見を述べるならば準備をしておくのが賢明かもしれない。

 

では!