子どもが負担すぎる
2月といえば、中学受験から大学受験まで受験シーズン。
そんな中、先日見た、中学受験塾の費用捻出のために家を売ったというブログが衝撃的だ。
「中学受験の塾代のために車と自宅を売った家族の話」に衝撃を受ける人たち - Togetter
ただ、衝撃的なタイトルとは裏腹に家を売ったといっても、残ローンよりも高く売れ、そして、また家を買っているという実態で、タイトルの強烈さよりは救われる内容だ。
しかし、問題にしたいのは、
・教育費高すぎ
・教育に熱心になりすぎ
という2点。
SAPIX代に月5を費やしているというのが、上記のブログのお話だ。
といっても、おそらく、月5万というのはいわば通常運転の話で、夏期講習、冬期講習、春期講習などとっていると年100万は下らないのではないかと思う。
しかも、
中学受験の進学塾では通常、小3の2月からカリキュラムが始まるが、その時点で入塾を締め切っている校舎もある。
「実際に入塾するタイミングは、新4年生に次いで新1年生が多い」と話す。
早稲田アカデミーでも、低学年から通塾するケースは年々増加傾向にあるという。26校舎では小1・2生を対象に「スーパーキッズコース」を設け、入塾の基準も高めに設定している。
出典:中学受験塾、進む低年齢化 「席埋まる前に」早めに入塾 [変わる進学]:朝日新聞デジタル
ということで、低年齢化が加速しているらしい。
低学年うちから月5万ということはいかないとしても、入試直前には、受験料や併願すればすべり止め校への入学金もかかる。6年間で500万くらいはかかるとみてよいのではないだろうか。
しかも、希望しているのは中高一貫の私立であるから、中高の学費も高校無償化の影響で多少は補助になっている自治体もあろうが、額面では年に100万程度を6年間払っているのではないだろうか。
そして、うまく有名な超進学校中高一貫私立に入ったとしても、セットの有名塾鉄緑会にでも入れば、中学でも年額30万は下らないし、高校になれば月に5万を超えてもおかしくない。
これで東大や一橋、東工大など国立大学にでも収まればまだ大学の学費で取り戻せた感はあるが、私立ともなれば、大学の学費も年100万くらいは文系で理工系ならばそんな額ではきかない。
非常にざっくりとだが、小中高大の16年間にわたり、教育費に年間100万円を払い続けることができる人がどれだけいるのだろうか。
こういう世界には巻き込まれたくないと願いながらも、都内にいると「公立は…」の保護者たちの不安な声に煽られて、「公立は荒れているのではないか」「いじめがあるのではないか」「私立に行けなかったことだもだらけでやる気がなくレベルが低いのではないか」「先生の質が悪いのではないか」と様々な不安の襲われ、私立中高一貫を希望する家庭もあるのではないだろうか。
上記は、金銭的な負担だけだが、当然子どもを産むときには、女性は働いていれば産休育休にはいることがほとんどだし、父母ともに子どもの相手をするには時間を費やす。また、教育熱心で塾通いや習い事をしていれば、送り迎えにも時間を費やすし…
時間的な負担もかなりのものがある。
そのような事情もあってかなくてか、少子化も止まらない。
子育ての負担を考えるときに、「自分の子ども」というエゴをどこまで捨てられるか、という点が割と重要なのではないかと思う。
本来のスパルタ教育とは、「子供は国の財産」とみなす教育で、子どもは小さいうちから親元を離され、育成される。
早い段階で取り上げられてしまうのである意味そこに自分の子どもを熱心に育てて選抜においてほかの家庭の子どもを出し抜こうなどという現代的な情熱は生じえない。
親が教育に熱心になるには、共通の感情として子どもの幸せを願ってのことであろうが、思惑としては、代々の高い地位を子どもにも引き継がせたい、社会的に地位や名誉のある職につけたい、収入の多い職業につけたい、子どもに稼いでもらって老後には支えてもらえないなど様々あるだろうし、名誉ある子どもを育てること、育てたこと自体を自分の実績のように感じ、満足を得る親もいるだろう。
熱心さ自体は割と必然的なこととしても、その競争に参加できるのは全員ではなく、そして、参加する権利が金銭的な余裕に由来するなら昨今騒がれている、格差や貧困の再生産に教育が図らずも寄与することになるだろう。
一方教育格差の是正を叫ぶ人で、ここまで強烈な主張をする人はいないのだけれども、本当に格差をなくす気があるならば、スパルタどころか、2,3歳のうちに親元から引き剥がしてしまって、能力に応じて教育を受ける権利でも与え、親の介入を一切たちきってしまったらどうか?
あるいは、財産一代法ともでも定めて、相続税100%でストックを許さず、没収でもしてはいかがか?使い切りたい金持ちがいれば経済も回るし、逆に金持ちがため込んだまま死んでしまえば没収できるので国庫も豊かになり、無償化などにも回せるかもしれない。この場合、使い切ればよいので子どもの教育に熱心に富裕層はお金をかけるかもしれないが、所詮ため込めるのは1代限り、子、孫の代で失敗すればエスタブリッシュの再生産は起こらず、皇室や旧大名家の嫡男がどこかで途絶えるように出来の悪い子孫が2代続けてでれば特権層の命脈は途絶える。
いずれにせよ、小市民であるわたくしは、今ある制度の中で家計が破綻しない程度に、子どもの幸せを願うばかりである。
では!